気になる相手と何度も目が合ったり、見つめられた後にそらされたりすると、「脈ありなのだろうか」と受け取り方に迷うことがあります。
目の動きだけで、恋愛の好意や交際の意思は確定できません。視線を調べた研究でも、写真のどこを見たかと、対面で二人の目が合うことは区別する必要があります。相手と話したいなら、視線の回数を数えるより、短く声をかけて今の返答に沿って接する方法を提案します。
この記事では、目が合う・見つめる・そらす場面を整理し、写真と会話を使った研究の対象、結果、日常に当てはめる際の限界を説明します。自分が目を合わせにくいときや、見られて困るときの接し方も紹介します。
目が合う・見つめる・そらす反応の違い
相手の視線が気になったときは、見えた動きと、その理由についての想像を分けて考えてみましょう。
この記事では、視線が重なった出来事を「目が合う」、相手の視線がしばらくこちらに向いていると感じる場面を「見つめられる」、合っていた視線が外れた場面を「目をそらされる」として整理します。以下の日常の場面は、違いを説明するために編集部が作成した架空例です。接し方も編集部からの提案としてお読みください。
目が合った場面
たとえば、同じ教室にいる相手を見たときに目が合い、休み時間にもまた合ったとします。このとき分かるのは、自分が相手を見たタイミングで視線が重なったこと。相手が先に見ていたのか、なぜこちらを見たのかは、目が合った回数だけでは決められません。
「何度も合うから、ずっと自分を見ていたはず」と考える前に、自分も相手のほうを見ていたことを含めて受け止めてみてください。もう一度目が合うかを確かめるために見続けるより、自分がその人と話したいのかを考えてみましょう。
見つめられた場面
長く見られたという出来事は、相手から恋愛の意思を伝えられたこととは別です。「短い視線は偶然、長い視線は本気」という基準を、この記事で紹介する研究から作ることもできません。
たとえば、会話が終わった後も相手がこちらを見ていると感じた場面。自分は話を続けたいのか、その視線を心地よく感じているのかに目を向けてみましょう。気になる相手でも、反応を試すために長く見つめ返す必要はありません。話したい場合も、目を合わせ続けることを会話の条件にしなくて大丈夫です。
目をそらされた場面
目が合った直後に下を向かれた、横を向かれたという動きから、照れや嫌悪のどちらかに理由を決めることはできません。そらした方向や速さを「好き避け」の判定に使うのも、ここで扱う研究の範囲を超えます。「嫌われたとは限らない」ことは、そのまま「好きに違いない」という意味にはなりません。
たとえば、相手が目をそらしながらも質問に答えているなら、その答えを聞いて会話を続ける方法があります。一方、「今は話せない」と言われたら、こちらを見た瞬間があっても、いったん会話を終える。理由が分からないままでも、本人の返事や会話の区切りに合わせて接することはできます。
写真を使った視線研究の対象と結果
2014年のBolmontらの研究では、人物の写真を恋愛感情と性的欲求という異なる観点から評価するとき、見る側の眼球運動を記録しました。写真に写っている人の本心を調べたものでも、二人が向かい合って目を合わせた実験でもありません。
どんな写真を、誰が、何を判断するために見たのか。まずは実験の条件から確認します。
大学生が写真を評価した実験
参加者は異性愛の大学生20人で、女性13人、男性7人。全員がフランス語話者で、このうち3人は数週間後に行われた研究2には参加していません。原著の対象者・手順に、その条件が記されています。
参加者が見たのは、会ったことのない人物の白黒写真です。顔と体の両方が写っていました。
研究1ではカップルの写真を使い、恋愛感情を感じさせる写真か、性的欲求を感じさせる写真かを、それぞれ別の課題として「はい・いいえ」で答えました。研究2で使ったのは、異性が一人で写っている写真。その人物が自分に恋愛感情や性的欲求を呼び起こし得るかを、課題ごとに答えています。
回答をする課題と眼球運動の記録は、別のセッションで行われました。研究者が比較したのは、こうした指示のもとで写真を評価するときの見方です。
顔と体への注視回数
眼球運動の分析では、写真の「顔」と「体」を見る領域として分けました。調べたのは、それぞれの領域への注視回数、注視した時間の合計、写真が出てから最初にその領域を注視するまでの時間です。ここでいう注視回数は、日常で相手と目が合った回数を数えたものではありません。
分析に使ったのは、先の回答課題で「はい」と答えた写真の眼球運動データに限られます。
個人写真を使った研究2では、恋愛感情を評価する課題でも、性的欲求を評価する課題でも、顔への注視回数は同程度でした。そのうえで、性的欲求を評価する課題では、恋愛感情を評価する課題より体への注視回数が多くなっていました。「恋愛なら顔だけ、性的欲求なら体だけを見る」という二択の結果ではありません。原著の結果と考察では、両方の課題で顔が見られていた点も説明されています。
一方、研究2の注視時間の合計と、最初の注視までの時間については、統計的に有意な結果は報告されていません。回数で示された違いを、そのまま「長く見る」「すぐ見る」という時間の違いに広げて読むことはできません。
日常の好意判定への限界
ここまでの「顔を見た」は、写真の顔の領域に視線が向いたという意味です。顔の中の目だけを見た時間でも、二人の目が合い続けた時間でもありません。「顔への注視」という結果を「何秒目が合えば脈あり」に置き換えると、測った対象そのものが変わってしまいます。
さらに、写真を使った指定の課題と、知り合い同士の普段の会話では条件が異なります。異性愛の大学生を対象とした小規模な研究なので、年代や性的指向の異なるすべての人の見方を示したとも言えません。課題間の結果から、目の前の一人が交際を望んでいるかまでは判断できないのです。

著者らは、顔と体への注視回数の比が、恋愛感情と性的欲求を区別する指標になり得るかを、今後の研究課題としています。日常の相手の気持ちを判定する方法として完成している、という報告ではありません。
会話中の視線研究と場面の違い
2013年のFreethらの研究では、実験者の質問を聞いたり答えたりするときの視線を調べています。実験者と対面する場合と、事前に録画された映像を見る場合の二つの実験が行われました。恋愛相手との会話や、好意の有無を確かめる実験ではありません。
この研究からは、会話のどの段階か、相手が目の前にいるかという条件によって、視線の向け方がどう違ったかを知ることができます。
質問を聞くときと答えるとき
対面と録画の両方の実験で、参加者は質問を聞いているときより、答えているときに実験者の顔を見る割合が少なくなっていました。会話中のどの瞬間を取り出すかによって、顔に向ける視線の割合が違っていたのです。原著の実験1と実験2に、この結果が示されています。
ここで測ったのは、顔・頭、体、背景の各領域を見る時間の割合です。目同士が合った時間だけを切り出した数値ではありません。著者らも、使用した装置などの条件から、顔の各部位の重要性についてさらに結論を出すことはできないと述べています。
この結果を踏まえると、答えながら目をそらしたことを、そのまま興味のなさに結び付けるのは早計です。一方で、「そらしたのは集中して考えているから」と、日常の相手の理由まで言い当てられるわけでもありません。返答を待ち、内容を聞いてから会話を進めるという接し方を提案します。
対面と録画の条件
対面の実験では、女性の実験者が参加者の向かいに座って質問しました。録画の実験では、実験者が質問し、回答を待つ様子を事前に撮影した映像を流し、参加者はマイクに向かって答えました。参加者の回答を聞いて画面の相手が応答を変える、双方向のビデオ通話ではありません。
二つの実験に参加したのは別々の大学生です。各実験で当初32人が参加し、眼球運動の記録不良や外れ値の除外後に分析されたのは各30人でした。
どちらの実験にも、視線を正面に向ける条件と、手元のメモへ落とす条件がありました。正面を見る条件では、対面の実験者は参加者の目に、録画の実験者はカメラに視線を向けています。
対面では、実験者の視線方向によって参加者が見る場所に有意な変化があり、直接視線を向けられた条件では顔を見る割合が増えていました。一方、録画の実験では、視線方向による有意な変化は示されていません。
著者らは、同じ参加者が両方の実験を行っていれば、違いへの確信をさらに高められたと考察で述べています。また、聞くときより答えるときに顔を見る割合が少ないという傾向は、両方の実験に共通していました。対面と録画では、すべての視線の動きが違ったわけではありません。
こうした結果から、普段の対面やオンライン通話で、特定の相手がなぜこちらを見なかったかは分かりません。視線だけでその人の性格や医学的な状態を推測することにも使えません。
目が合った後の接し方
ここからは、自分が話したいか、相手が今どうしたいかに沿った接し方を、編集部から提案します。会話と状況は、接し方を考えるために編集部が作成した架空例です。
話を続けること、誘いに応じること、交際を望むことは、それぞれ別の意思です。会話に応じてもらえたら、その会話を楽しんでよいものの、交際への返事まで受け取ったことにはなりません。断られたときも、目が合った出来事を理由に返答を覆さないようにしましょう。
話したいときの短い声かけ
普段から話せる相手なら、目が合った理由を尋ねるより、挨拶や共通の用件を短く伝える方法があります。たとえば同じ授業を受けている相手に、「さっきの課題、もう決めた? 少し話しても大丈夫?」と声をかける場面です。
相手が話を続けるなら、返事の内容に合わせて会話を進めます。「今は急いでいる」と言われたら、「分かった、またね」で終える。返事の理由を確かめるために、再び視線を合わせようとしなくて大丈夫です。
初対面の相手や、もともと話す関係ではない相手なら、見られたことだけを理由に近づく必要はありません。自分から話しかけたい気持ちと、声をかけてもよい場面かを考え、相手が会話を続けないときは追わない接し方を選べます。
視線以外のやり取りも含めて考えたい場合は、女性の脈ありサインの受け止め方と学校やLINEでの接し方も参考にしてください。まずは、短い会話に相手がどう答えるかを受け止めるところまでで十分です。
目を合わせにくいときの伝え方
自分が目をそらしてしまい、話したくないと受け取られるのが気になるなら、無理に長く目を合わせようとせず、言葉で希望を伝える方法があります。
たとえば、「話は聞いているよ。少し考えてから答えてもいい?」と伝えたり、「さっきの話、もう少し聞きたい」と続きを求めたりできます。相手の話した内容に返答することも、視線以外で会話に参加する方法です。

こうした言葉は、自分が今どうしたいかを伝えるためのものです。恋愛の好意が必ず伝わる、誤解がすべて解けるという保証ではありません。恋愛の気持ちを伝えたい場合は、会話をしたいという希望とは分けて言葉を選びましょう。
見られて困るときの距離
視線が心地よくないときは、相手の好意の有無が分からなくても、応じずに距離を取って構いません。相手が気になる人であっても、長く見つめ返したり、二人きりで理由を確かめたりする必要はありません。
たとえば、見られ続けるのが気になる席なら、別の席へ移る。私的な接触を控えたいなら、二人で会う場面を作らず、必要な用件だけのやり取りにする方法もあります。怖さがあるときや、自分だけでは対応しにくいときは、信頼できる人へ状況を話してください。
相手の気持ちを解明してからでなくても、自分が落ち着いて過ごせる距離は選べます。話したいときには言葉を使い、話したくないときには自分と相手の希望を尊重する接し方を選んでみてください。
